長所と短所

人にはそれぞれの長所と短所がある。長所を伸ばすべきか、短所を減らしていくべきかという話があるが、私は二元論では語れないと考えている。それは長所と短所は結びつくという考えの元にある。

長所を伸ばすことでそれがその人の武器になる。ただ、その長所を伸ばそうとしても頭打ちが来ることがあるだろう。そこで自分を見つめなおすことになる。自分は何ができていなくてその壁にぶつかっているのか。自分自身の短所を見ることになるだろう。

例えば、陸上選手が短距離走においてタイムを伸ばしたいが伸び悩んでいるとしよう。長所を伸ばすという点に置いては「足が速い」という長所を伸ばすために、足の筋力トレーニングに励むことも考えられる。この時、ちゃんと腕を振れていなかったらどうだろう。「腕が振れていない」という弱点を克服することでタイムを伸ばせるかもしれない。このように短所を克服することで長所を伸ばすことがあるのではないか。

あらゆる能力は別の能力と関連しているのではなかろうか。結局のところ、長所を伸ばしたくても短所と向き合うことになるのではないかと思っている。したがって、「長所を伸ばす」志向の人は長所を伸ばす上でネックになっている短所を克服し、「短所を減らす」志向の人は長所とは関連するとは限らない短所を克服しようとするだろう。

以上の考え方より、社会で長所を伸ばすことが求められることがあるかもしれないが、そこで短所から目を背けることは却って長所が伸び悩むことになるのではないかということが結論である。上司から長所を伸ばすようにと言われても、文面を鵜呑みにしてはいけないということである。