デイリーチェス#2-2
さぁこの局面をどうしよう。候補手をたくさん考えたい。この局面はピンチな局面だ。手抜けばNc7がとても厳しい。考えられる方針は2通りある。ⅰ.c2を守る、ⅱ.攻め合う。c2を守るのが当然と思われるが相手もf5のナイトがいなければメイト寸前の形だ。この瞬間のチャンスの有無を把握しておく必要はあるだろう。
ⅰ.c2を守る手
キングとルークのフォークを避けるためにc2を守る必要がある。例えばKd4もc2を守る手ではある。しかしキングが動いてはキャスリングの権利を失ってしまい陣形整備でかなり不利になるだろう。なので将来的なことを考えた手を選ぶ必要がある。よって候補手はBb6 Qe5くらいだろう。
ⅰ-① 黒Bb6
この手に対して白はBe3と応じたらどうだろう。これには黒からBxe3 fxe3 O-Oとしてc7のポーンを諦める代わりにフォークを避ける筋に持ち込むことは可能そうだ。ただ、働きのいいビショップが強制手により働いていなかったビショップと交換させられるのは悔しい。O-OではQe5とする手もある。これは数の攻めでc7を受け止めることができる。
結局ⅰ-① 黒Bb6は消極的だが捌きが発生する。良し悪しは難しい。
ⅰ-② 黒Qe5
この手はc7をクイーンで守りつつ中央の駒に狙いをつけている。手抜いて黒からNxf5とされるとピース損してしまうので、白は事前に取り返せる形を作る必要がある。例えばQe2やBe2だ。お互い損しないように陣形整備をするためじっくりとした戦いになる。
結局ⅰ-② 黒Qe5は持久性調になる。
☆☆ⅰの結論:じっくりとした展開になりそう。読みにくい変化を含んでいそうなのであまりやりたくはない。作戦ⅰを選択するとしたらQe5だ。
ⅱ.攻め合う手
Nxg5という手はどうだろうか。
これは実際白のNxc7を全く受けていないので激しい展開が予想される。相手の気持ちになって候補手を考えよう。ここでの応手で思いつくのはNxc7+ exf5だ。
ⅱ-① 白Nxc7+
これは激しい展開だ。チェックなので一回はキングを逃がさないといけない。黒はKf8とする。それに対して白はNxa8 Be2 exf5が候補に挙がる。
ⅱ-①-① 白Nxa8
これは素直な手だろう。元々ルークを狙った筋ではあったので自然な手に思える。ただ、この瞬間に取るべきかどうかは吟味したいところだ。これに対して、黒がNg3としたらどうだろう。
この手はルークを狙っている。ルークを取られたくないからとfxg3やRg1、hxg3などとしたらQxf2#で試合終了だ。手抜いてもチェックメイトは避けられないので受ける必要がある。よってルークは取り返せる形になる。さらに、ナイト得になる。受ける手はBe3 Qf3 f3くらいだろうか。ルークを取り合った後の形の比較になるだろう。
ⅱ-①-①-① 白Be3
この手はf2の地点をビショップで守る手。さらに、c5のビショップに当たっているので強制手である。これに対しては黒からBxe3 fxe3 Nxh1と進んだ場合f2への攻めが依然として残る(下図)。
白のキングが不安定であり、あまり得ではないかもしれない。Be2という手はあまり良くない手だ。
ⅱ-①-①-② 白Qf3
この手の善悪はどうだろう。黒からNxh1 Qxf6 gxf6と黒からQxf3 gxf3 Nxh1となる場合を比較しよう。
1枚目の図に進んだ場合キングが広くなる上にルークが使いやすそうだ。さらにBxf2という攻めが残った形である。一方、2枚目はどうだろうか。依然としてBxf2の味は残っているが、g7のポーンが邪魔でルークが使いづらい。しかし、Bh6という攻めがないのはg7にポーンがある利点だ。この2つの図は一長一短である。受けの手として成立しうるくらいに思っておこう。
ⅱ-①-①-③ 白f3
この手に対してNxh1としたとき次にBf2+があるので攻めが続く可能性があると考えればf3はよくないかもしれない。この瞬間に白に鋭い攻めがあればよいがピース展開が遅れていること、a8のナイトが戦線復帰するのに少々時間がかかりそうなことからf3は緩手にみえる。
結局ⅱ-①-①の進行はナイト損をカバーできないため実行されないと思われる。もしこの進行になるならば、相手はNg3でルークを取り返せることを見落としていることになろう。
ⅱ-①-② 白Be2
これはビショップでメイトを防いだ手。これに対してNg3としたらどうだろう。手抜いてNxa8かfxg3がある。
ⅱ-①-②-① 白Nxa8
これには黒からBxf2+ Kd2 Qg5+ Kd3 Qb5+ Kd2 Nxe4#というメイト筋がある。キングの逃げ方は色々あるがクイーンをうまく動かせばメイトになるだろう。
ⅱ-①-②-② 白fxg3
消去法的にfxg3がよいと思われる。ここで黒からBf2+とし、Kf1とした場合、Bb6でナイト得になる。
なので相手はKf1とはできない。ではKd2だった場合どうだろう。これには黒からQg5+ Kd3 Nb4+ Kc4 Qc5+と進む。
この筋でナイトを取れる。相手はキングでナイトを取り返せるがおそらくメイトがあるのでやりづらいだろう。
結局ⅱ-①-②の進行はビショップでのチェックからの強襲があるので実質的に受けになっていないのでしてこないと思われる。
ⅱ-①-③ 白exf5
この手は一見メイトを受けていてよくみえるが、Qe5が厳しすぎる。単純なナイト損が目前なのでさすが選ばないだろう。
結局ⅱ-①-③ 白exf5は選ばない。
☆結論:ⅱ-① 白Nxc7+は黒有利
ⅱ-② 白exf5
そもそもNxc7+という手はナイト損を将来的に取り返せ前提の手なのでexf5のほうが手堅いと思える。これに対する黒の候補手としてQxf5 O-Oを検討したい。
ⅱ-②-① 黒Qxf5
これはf2を狙った手であり、間接的にb5のナイトを睨んでいる。これに対する応手はQe2+がある。eファイルのポーンがいなくなったことにより黒キングへ流れ弾が当たりやすくなったことから発生した手だ。Kf8に対してはNxc7がチェックメイトとルーク損を見合いにしている。それが嫌なのでKd8もあるかもしれないが、なんとなく悔しい。互角のような気もするが。合駒をする手は取り合った後のNxc7が厳しいのでできない。
結局ⅱ-②-① 黒Qxf5はしないほうがいい。
ⅱ-②-② 黒O-O
これは景色が変わってみえる。キングを手順に逃がせたことや、Re1+が気持ちいいことがある。この瞬間はNxc7はできない。なぜならQe5+があるからだ。ピース展開の差が大きいため相手はピース展開を目指すことになるだろう。
結局ⅱ-②-② 黒O-Oは気持ちのよい手。
☆結論:ⅱ-② 白fxg5は黒有利
☆☆ⅱの結論:ナイトを先に取れるため相手に速い手を強制することができ、形の差で優勢を築けそう。保守的にいくよりむしろポイントが稼げそうだ。
2つの作戦を検討したがⅱのほうが展開が読みやすく楽しみもある気がするので激しくいこうと思う。当たって砕ける精神だ。相手の応答を待とう。