1次元的な視覚の持ち主と2次元の物体

人間は物を見るときは平面で見る。3次元の物体の特徴を把握するには色々な視点からの平面データを集める必要がある。おそらく、立体的に物を見ることができる仮想生物は一瞬にして3次元の物体を把握でき、4次元物体を様々な視点から見ることによって容易に特徴把握をしてしまうだろう。

もし、物を見るときに線でしか見られない人間(便宜上、線状人間と呼ぶこととする)がいたらどうなるだろうか。普通の人間ならば友人と出くわしたとき、顔を見るだけでそれが誰かを理解する。これはある角度から見た平面データを用いて特定する能力によるものだろうか。線的にしか見られない、かつ、平面データが必要な場合、人の顔を見て誰かを特定するためには顔を傾けて線状のデータを平面データに置き換える必要がある。

線状人間が正方形を正方形であると理解するにはどうすれば良いだろうか。例えば、背景が白で青い正方形を見たときに視界は一部が青になるだろう。そして、顔を傾けるとその青い領域の長さが変化する。これを360°行うことで正方形と特定することができる。想像しただけで大変な作業だ。

線状人間が3次元の物体の特徴を把握するにはどうすれば良いだろうか。3次元の場合、回転のさせ方が2種類に増えるため、情報量が圧倒的に増える。想像を絶する労力だろう。

これは、我々が4次元的な仮想物体の特徴を理解する難しさに近いのではないだろうか。自分の結論としては4次元的な物体はイメージできるが、線状人間が3次元の物体をイメージするくらいには労力が必要ということだ。逆に言えば、線状人間のモデルと3次元の物体は容易に想像できるため、4次元物体の認識の練習もどきにはなるだろう。

脳内の世界では次元の制約などなく、鍛錬を積めば何次元でも想像可能だと思っている(脳の性能の物理的な限界は度外視しているが)。

もし、頭の中で4次元の世界を描けたらどれほど楽しいだろうか。ロマンを追い求めて思考は続いていく…